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太陽光発電をめぐる各種の導入推進⼒の強化・連携を

2025.10.08

2月に閣議決定された「GX2040ビジョン」「第7次エネルギー基本計画」「地球温暖 化対策計画」の実現に向けて、行動に移していくための関係省庁の再生可能エネルギー を巡る2026年度予算要求が明らかとなった。2040年の電源構成で、再エネ比率を4割~ 5割(このうち太陽光発電が23~29%)に引き上げる新たな目標が設定されたことで、 新規に創設される予算への期待も膨らんだが、太陽光発電をめぐる新規の予算要求は ほとんど無く、大半がこれまでの項目を継続しての増額要求となった。

 

経済産業省は、GXサプライチェーン構築支援事業や大量導入への技術開発事業など、太陽電池をめぐるモノ作りへの支援や系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援事業、さらに、再生可能エネルギーの適正導入推進事業及び実務人材育成事業を中心 に、太陽光発電導入拡大が進むための事業・普及環境整備の視点からの予算要求を強化している。太陽光発電導入拡大に対しては、10月からの屋根設置型太陽光発電に対する 初期投資支援スキームを初め、FIT・FIP制度の下での運用見直しによる導入量の引き上げを進めようとしている。

 

環境省は、太陽光発電の最大限の導入拡大を強力に推し進めるために、自治体主導で 進める地域脱炭素推進支援、公共施設、民間施設、住宅分野への導入支援、次世代太陽 電池と位置付けられているペロブスカイト太陽電池の社会実装支援など、導入量拡大 の視点に立って予算の大幅増額を要求している。さらに、新規予算として大企業が取引先の中小企業も含めたバリューチェーン一括での集団型PPA方式による新たな導入モ デルの構築と、その水平展開を計画している。

 

この他の省庁でも国土交通省は、建築物省エネ法の下での全ての建築物に対する省 エネ基準への適合義務化及び空港を初めとする各種の公共インフラ施設への太陽光発 電の導入を進めている。農林水産省は、「農山漁村再生可能エネルギー法」及び「農林 水産省地球温暖化対策計画」を改正・改定し、太陽光発電の農林漁業関連施設での利用 や地域活性化に繋がる営農型太陽光発電の推進を図っている。文部科学省は、学校への 施設・設備整備としてのZEB化を進めている。

 

このように関係省庁による太陽光発電の導入・利用拡大への取組みは、年々広がってきている。しかし、2040年の太陽光発電導入目標量は、FIT制度の開始で実現した過去 15年間の導入量の倍に相当する。この実現には今後15年でこれまでの2倍のスピードで 導入を進めていく必要があり、導入加速への抜本的な導入展開策が求められている。

 

FIT制度が始まった時点では大きな制約もなく、導入への自由度は高かったが、導入 拡大が進むにつれて立地制約、系統制約、経済合理性、変動電源性、地域共生などの乗り越えなければならない課題が顕在化し、導入への自由度が狭まっている今日では、年間導入量が5~6GWレベルで低迷している。現在の太陽光発電市場は、国民負担による量とコストダウンを追求する“FIT市場”から、電力需要家主導による長期安価・安定 供給と社会受容性を追求する“自立市場”への移行を始めたところである。2040年の導入目標量達成には、導入加速への効果的な政府支援策を打ち出しながら、“政府が広げ る太陽光発電”から“国民・企業が広げる太陽光発電”に変えていくことが不可欠である。関係省庁の施策及び普及予算は、そのための導入支援であることが重要である。太陽光発電産業も“政府に頼る”から“国民・企業から頼られる”産業へと変わっていかねばならない。2010年代の導入推進力はFIT制度一辺倒であったが、今日では図1に示すように、新たな形として施策、プレーヤー、市場、技術、事業領域、導入方式などの面 から、各種の推進力ミックスが動き始めている。こうした推進力を強化・連携していくことで太陽光発電の抱える課題を克服し、太陽光発電の導入加速を進めていくことができよう。2030年に向けてはこのような事業・導入環境整備に重点を移し、PPA方式に よる導入を初め、電力需要家自らがFIT・FIPによらない自立した導入ができる新たな段 階へと進める大事な5年である。

 

 

PV Stable Procurement

©株式会社資源総合システム

図1  図1 太陽光発電導入拡大への推進力となる各種のミックス

 

       

 

 

「今月の視点」の英語版”RTS Monthly Perspective”は、こちらからご覧いただけます (英語版は日本語版の1~2週間後に反映されます)

The English version “RTS Monthly Perspective” can be found here. (English version will be released1~2weeks after the Japanese version)

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