2015年12月に合意された「パリ協定」は、今月で10年の節目を迎えた。2015年の太陽光発電導入量は年間50.8GW、累積231GWであったが、その後の10年で全世界に浸透していき、2025年には年間600GW規模、累積2.8TW規模へと大成長を遂げている。
2025年の太陽光発電ハイライトは表1に示すように、国内外で様々な展開と変化が起 きている。これまでの様な大幅な導入拡大からは小休止し、堅実な導入拡大に落ち着い ている。政策面ではアメリカはエネルギー政策の転換により、再エネ支援施策が大幅に後退したが、ヨーロッパ、中国、インドを初め、世界各国では導入拡大に向けた支援の強化が進められており、化石燃料から脱炭素電源転換への世界潮流は不可逆である。

市場面では、太陽電池モジュールの供給過剰の状況は継続するも、8セント/Wの水準で価格低下に歯止めがかかっている。太陽光発電の導入拡大に伴って、電力取引市場の ネガティブ価格の増加、系統のフレキシビリティ、グリッドフォーミング、蓄電併設などが活発化し、新たなビジネスチャンスが生まれている。太陽光発電産業面では、世界の太陽電池生産を主導している中国では、供給過剰による過当競争で業界全体が疲弊 (内巻)し、業界の再編・強化が始まる一方で、太陽電池工場建設が世界各地に広がり、 新たなサプライチェーン形成が進み始めている。太陽光発電の発電コストの競争力に加 えて、蓄電コストも下がってきており、蓄電と一体となった太陽光発電の優位性は益々増していくこととなろう。
国内では、政府は「GX2040ビジョン」を策定し、2040年に向けてエネルギー安定供給 確保、経済成長、脱炭素の同時実現を目指す国家目標を示すとともに、規制強化、地域との連携強化、地域共生型への支援の重点化を図る「メガソーラー対策パッケージ」を決定した。
経済産業省は第7次エネルギー基本計画を策定し、太陽光発電を2040年の電源構成で最大電源に位置付けるとともに、「屋根設置型」「地上設置型」「次世代太陽 電池の社会実装」を3本柱とする今後の導入の方針を示した。屋根設置への初期投資支 援や長期安定適格太陽光発電事業者認定制度を開始するとともに、FIP制度の活用促進、 再エネ価値評価、ペロブスカイト太陽電池の支援の強化、系統用蓄電所支援を初め、今後の本格普及拡大に向けた事業環境整備を多面的に進めた。環境省は新たな「地球温暖 化対策計画」を策定し、脱炭素電源へのエネルギー転換を進めていく。太陽光発電の導入拡大に向けては、地域主導での導入展開、政府・自治体所有の公共施設への率先導入実行、民間企業による自家消費促進支援などの導入支援を強化するとともに、次世代太陽電池やPPA方式を活用した新たな導入拡大への取り組みも始めた。国土交通省は、建築物省エネ法の改正によって全ての新築住宅・非住宅に対する省エネ基準適合の義務化を開始するとともに、空港に次いで鉄道分野、道路分野、港湾分野などの公共インフラ施設へも再エネの導入拡大を広げた。農林水産省は、「農山漁村再生可能エネルギー法」 における基本方針の改正を行い、「望ましい営農型太陽光発電」の整理と導入促進に乗り出した。
地方自治体は、再エネ促進区域の設定を進めるとともに、公共施設・公有地に対してはPPA方式の採用による太陽光発電導入拡大を進めた。さらに、東京都および 川崎市は、新築住宅に対する太陽光発電導入の義務化を開始した。
太陽光発電市場は、FIT・FIP制度によらないPPA方式が台頭し、電力需要家による建物・施設を中心とする自家消費市場が立ち上がり始めた。住宅市場は省エネ基準の適合義務化を受けて太陽光発電の標準装備に向かい始め、拡大基調に転じている。 太陽光発電産業は、企業間連携を進めながらオンサイト/オフサイト/バーチャルPPA に軸足を移した事業展開の強化を図るとともに、これからの成長が見込めるO&M、FIP 転換、蓄電、リパワリング、アグリゲーション、リサイクルなどの新たな事業領域への展開も活発化させている。
2026年は、「第7次エネルギー基本計画」と「メガソーラー対策パッケージ」の方針 に沿った施策展開が見込まれるが、太陽光発電産業界は政府とともに第2期導入拡大の幕を開け、事業の自立と本格導入への道を切り拓いていこう。
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