太陽光発電システム価格の見通し
1月の視点で「第7次エネルギー基本計画」に基づく太陽光発電導⼊量予測を⽰したが、導⼊量予測 の前提の1つとなる今後の太陽光発電システム価 格も設備容量別に予測した。第7次エネルギー基本 計画で示された2040年度の電源構成における太 陽光発電による発電シェア下限値の23%が実現する場合の価格⾒通しを図1に示す。
予測の前提としては、太陽電池モジュールをはじめとする関連機器の量産、導⼊拡⼤によってコスト低減していくことを基本的な考え方とし、さらに市場動向、技術動向、メーカー間の価格競争、社会変化などを加味して分析した。太陽光発電システム価格 は、2027〜2028年頃までは、電極材料である銀の高騰、中国における増値税輸出還付の廃止の影響により、高止まり(または多少の上昇)すると考え られる。しかしその後は銀使⽤量の少ない太陽電池技術への移⾏、太陽電池の⾼効率化によるワット単価の低減、中国以外の国での太陽電池モジュール⽣産量が増加することによる供給過剰、等により、太陽電池価格の低下が⾒込まれ、システム価格は低減傾向となり、2030年時点では3〜6%減少、その後さらに低減傾向が続き、2040年には3〜4割の減少になると予測される。
太陽電池以外でのシステム価格の上昇要因としては、サイバーセキュリティ対策費、人件費・工事費・ 物流費の上昇、構造や火災に対する安全対策費用の追加、地域共生の対策コストの追加等が挙げられる。一方、システム価格の低下要因として、安価な海外製品の採用による機器調達コストの低減に加え、設計施工のIT・AI活用による効率化・工期の 大幅な短縮、標準化・ロボット技術活用による省⼒ 化・工数削減の実現、流通の合理化、等が挙げら れる。
これらのコスト上昇要因と低減要因を総合すると、 中⻑期にはコスト低減が進んでいくと考えられる。

図1 容量別太陽光発電システム価格の⾒通し
(第7次エネルギー基本計画で示された電源構成における2040年度発電量⽐率23%実現のケース)
出典:(株)資源総合システム 「⽇本の太陽光発電導⼊量予測(2025-2040年)」(2026年1月)
太陽光発電の発電コストの⾒通し
システムコストの想定に、運転維持費、廃棄コスト の想定を加え、運転年数内総発電量を計算し、発 電コスト(LCOE;kWh/円)を試算した。(算出 にはNEDO太陽光発電開発戦略(2014年)による 計算式を用いた) 発電コストは図2に示すように、 2025年には⼀番⾼い住宅⽤でも15.5円/kWh、 1MW以上の高圧で9.0円/kWhとなり、小売電気料⾦よりも安価な状況となっている。さらに将来的には、システム運転期間の延⻑、運転維持費のコストダウン、リサイクルを前提とした製品による廃棄コストの低減等により、コスト低減が進む。システム運転期間については最大40年程度まで延⻑されていくこと になる。そのため、導入した太陽光発電システムを、 適切に稼働・メンテナンスをさせながら、いかに⼤切に⻑期に安定させて使っていくかというマネジメントと技術が求められるようになる。
kW価格の低減からkWhコストの低減へ
これまで太陽光発電における価格低減といえば、 システム導入コスト(kW価格)の削減が主であっ た。しかし太陽光発電システムの構成部材において 海外製品が多く使われるようになった今、機器自体 の導入コストを低減するのは難しくなっており、これからは発電所におけるkWhコストの低減、すなわち太陽光発電システムの⽣涯発電量を増加させること等 によって、発電所としての発電コスト低減が重要とな る。
太陽光発電システムの主要機器である太陽電池モジュール自体の期待寿命は一般に20年以上あり、 中にはメーカーが40年の出⼒保証をする製品もでてきている。その⻑寿の製品の特性・性能をフル活用し、 発電コストの低減を実現していくにはシステム設計・ 施工による⻑寿命化の工夫、運転・メンテナンスの 適正化による発電量の増加と安定稼働化が重要となる。
一方で、太陽光発電設備の維持管理をせずに放 置するような悪例も散⾒され、こういった事例が増加していくようになれば国内導⼊量に対する実発電量の不⾜になりかねない懸念がある。
第七次エネルギー基本計画における2040年における発電⽐率を達成するためには、太陽光発電の導入拡大とともに、日本全体で太陽光発電システム の安定稼働を維持・推進し、太陽光発電による発電⽐率を⾼めていく必要がある。今後は電⼒の安定 供給とエネルギー⾃給率向上のためにも、こうした視点に⽴って、官⺠⼀体となった太陽光発電の⻑期 安定稼働が促進される仕組みを築いていかねばならない。

図2 容量別太陽光発電システム発電コストの⾒通し
(第7次エネルギー基本計画で示された電源構成における2040年度発電量⽐率23%実現のケース)
出典:(株)資源総合システム 「⽇本の太陽光発電導⼊量予測(2025-2040年)」(2026年1月)
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