世界の太陽光発電の累積導⼊量は、3TW に到達
国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究開発協⼒プログラム( IEA PVPS ) が刊⾏した 「Snapshot of Global PV Markets 2026」によれば、2025年末時点での世界における太陽光発 電の累積導⼊量は、2,973GWdcであった。2026 年第1四半期には70GWdc以上が導入されており、 同年4⽉末時点で累積導⼊量が3TW超えとなったのは確実である。累積導⼊量は、2022年に1TW 台を突破してからわずか3年で3倍となった。
太陽光発電は最⼤の成⻑源に
このように導入が加速的に進む太陽光発電はエネ ルギー需給においても主軸電源となった。国際エネル ギー機関(IEA)が2026年4月20日に公表した「Global Energy Review 2026」において、太陽光発電は「最⼤の成⻑源」とされており、2025年のエネルギー需要増加分の技術別シェアにおいて最大 となる27%を賄った。他の再エネ技術も含めると、再エネが世界のエネルギー需要増加分の最大の割合を占めたのは、史上初めてのことである。
同報告書は、世界の電⼒需要の伸び率は、エネルギー需要の伸び率の2倍以上となる約3%であり、世界が「電⼒の時代」に突入したことも指摘した。2025年の世界の総発電量は、前年から850TWh増加し、このうち太陽光発電が600TWh(70%)を占めたという。
IEA事務局⻑ファティ・ビロル⽒は、「電⼒消費量は エネルギー需要全体の伸びをはるかに上回り、中でも太陽光発電は他のどのエネルギー源よりも急速に成⻑している。太陽光発電は世界のエネルギー需要増の4分の1以上を占め、初めて他のどのエネルギー源よりも高い割合となった。今日の急速に変化する状況のなかで、レジリエンス(回復⼒)と多様化を優先する国が、安全で手頃な価格のエネルギーを 供給する上で最も有利な⽴場に⽴つ」と発言した。
エネルギー安全保障に貢献する太陽光発電
上記の発言は、中東での軍事衝突を意識したものである。本稿執筆時点で、ホルムズ海峡の封鎖の状況や中東諸国で攻撃を受けた化石燃料関連設備の回復の⾒通しも不透明である。影響のレベルは異なるものの、化⽯燃料市場の逼迫と地政学的リスクによるコスト上昇という脅威に、すべての国が直面している状況である。こうした状況のなかで、太陽光発電は、エネルギーの安全保障の向上を担う電源として大きな役割を果たすことが期待されている。
IEAは 「Energy Technology Perspectives 2024」に おいて、図1に示すように太陽光発電と化⽯燃料を 比較分析している。IEAによれば、1隻のコンテナ船が運ぶ太陽電池モジュールで、大型LNG50隻が運ぶガス及び大型船舶100隻超が運ぶ石炭に相当する電⼒の供給が可能だという。

図1 輸送⾯から⾒た化⽯燃料と太陽電池の比較
出典:IEA Energy Technology Perspectives 2024
https://x.com/IEA/status/18538459920989 47235/photo/1
中東危機を受けて強化される普及施策
国連は、中東危機が世界のエネルギー問題の根幹を露呈したとして、再⽣可能エネルギーへの移⾏を強く呼びかけている。この動きに呼応するように太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入を 加速しようという取り組みが、欧州連合(EU)や英 国など各国で発表されている。再エネは、脱炭素の方策のみならず、エネルギー安全保障に貢献することが評価された結果である。表1に、各国における中東危機を受けた太陽光発電の普及の加速に関する取り組みの事例を示す。
表1 中東危機を受けた太陽光発電の普及の加速に関する取り組みの事例

出典:(株)資源総合システム調べ
日本のエネルギー安全保障の強化のために
我が国では、第7次エネルギー基本計画において 太陽光発電が容量においても発電量においても 2040年時点でのトップ電源に位置付けられている。 この点では、「太陽光が新たな“キング”になる」というIEAの認識とも⼀致している。ただし、中東の化石燃料依存率が⾼く、地政学的リスクに晒されている現況を踏まえると、2040年を待たずに太陽光発電の導入を加速し、前倒しすべきと考えられる。発電時の限界費用がほぼゼロである太陽光発電の導入拡大により、将来のエネルギー価格高騰や地政学的リスクの影響を受けにくい、強靭な社会の構築が可能となるからである。導入と同時に、蓄電池の導入やデマンドレスポンスの⾼度化、系統支援機能を有するパ ワーコンディショナの実装、太陽電池供給のサプライ チェーンの再構築も進め、太陽光発電によるエネルギ ー安全保障をさらに進めていくべきであろう。
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