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株式会社 資源総合システム

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再エネによる「安定供給型電源」でエネルギーの安全保障を

2026.07.08

再エネは安定供給型電源へ

 

1973年の第1次オイルショックでは、アラブ諸国 が石油の禁輸を実施した結果、世界供給の約 7%が停止され、世界経済に大きな影響を与えた。 今回の中東危機では、世界供給の20%以上が 影響を受けていると分析されているが、本原稿の執筆時点、供給能⼒の回復やホルムズ海峡の解 放については不透明性が継続しており、影響が⻑期化する可能性も懸念されている。

 

こうした情勢のなかで、これまで地球温暖化対 策として推進されてきた再生可能エネルギーは、エ ネルギー安全保障戦略にも貢献するものであることが広く認識されはじめている。これは、限界費用 が⾮常に低く、燃料費の変動に左右されないこと、 化⽯燃料の輸⼊を減少させることで地政学的な 影響を低減可能であることが理由である。さらに、 これまで変動電源(VRE)である太陽光発電や⾵⼒発電は、安定供給に結びつかないと評価されてきたが、蓄電池と併用することで、24時間、 365⽇、電⼒の供給が可能な安定供給型電源 (Firm Power Generation)として利⽤できることが検証されている。

 

 

安定供給発電源(Firm Power Generation)のコンセプト

 

Firm Power Generationとは、特定の発電源(または複数の発電源の組み合わせ)が、年間を通じて24時間体制で、高い確実性をもって 継続的かつ安定的に需要と供給を一致させる能 ⼒を示す。太陽光発電や⾵⼒や太陽光といった VREは、気象条件に発電量が左右されるため、 本来は「Firm(確実な)」な電源ではなく、その 導⼊が進むにつれ、電⼒網の信頼性維持に対する課題が懸念されてきた。しかし、安価になった蓄電池を併用し、適切な技術を運用することで、 VREを実質的に安定供給電源として活用すること が、経済的にも可能になっている。

 

 

太陽光発電+蓄電池の導入メリット

 

太陽光発電と蓄電池(PV+BESS)により、 需要に応じて供給可能(ディスパッチャブル)かつ ゼロエミッションな電⼒の提供が可能となり、変動 の大きい太陽光発電を、信頼性の高い「ベースロード電源」のようなリソースとして活用が可能であり、 後述するように導入のメリットは大きい。

 

コスト競争⼒:2026年5月に発刊された国際再生可能エネルギー機関(IRENA)による報告 書「24/7 renewables: The economics of firm solar and wind」においては、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたシステム(PV+BESS) の安定供給均等化発電原価(F-LCOE)は低下しており、多くの地域において新規の天然ガス火⼒発電所とも⼗分に競合できる⽔準にあり、今後 も低下していくと分析されている。

図1 2025年時点のF-LCOEと⾒通し

出典:IRENA 24/7 renewables: The economics of firm solar and wind

 

例えば、スペインにおいて、大口需要家向けの電気料⾦は16~18ドル/MWhであるが、2025年 時点のF-LCOEはそれを下回る91ドル/MWhとなっている。今後、図2に示すように、蓄電池及び太陽光発電の導入のための初期投資コストが低下していくことで、PV+BESSがコスト競争⼒を獲得していくことは確実である。

PV Initial Investment

図2 世界おける太陽光発電と電池初期投資 コストの推移と⾒通し

出典:IRENA 24/7 renewables: The economics of firm solar and wind

 

価格変動の回避:限界費⽤がほぼゼロである 太陽エネルギーを利⽤するため、燃料供給の途絶 のリスクや燃料価格変動の影響を受けないことで、 コーポレートPPAでも再エネ+BESSが採用され始めている。

 

導入期間:PV+BESSは、構成機器がモジュ ール式であり、数ヶ月〜1年で構築可能である。これに対し、ガス⽕⼒、⽯炭⽕⼒及び原⼦⼒発電所は、数年〜10年以上の準備期間を要する。このため、太陽光発電と蓄電池を組み合わせるのが、 新たな発電設備を稼働させる最速の方法として、 データセンター向けの電源として導入が開始されて いる。

 

送電網の強靭性:PV+BESSは、地域的なバックアップ電源として機能し、ピーク時の需要調整や停電の防止に寄与する。

 

 

PV+BESSの普及のための課題

 

世界各地でPV+BESSによる安定供給により、 電⼒供給構造が今後、大きく変化していく方向となっているが、課題もある。PVとBESSを最大現活 用して収益を確保するためには、気象リスクと出⼒ 制御等に対応するために精度の⾼い発電量予測 をはじめとした⾼度な運用が必要となる。蓄電池 は前述の図2に示すように、導入コストが低下して いくことが予測されているが、太陽電池の耐⽤年数は25~30年に対して、10数年の交換が必要となることを想定して収益モデルを構築する必要がある。世界においてもサイバーセキュリティへの対応の ために、需要地で製造される製品を採用する必要が生じているために、コスト増に影響がでる⾒通しである。さらに、リチウムイオン蓄電池への依存度が 高まると、世界的なサプライチェーンの変動の影響を受けやすくなるため、フロー電池やNaイオン蓄電 池といった代替技術の評価を進める必要も指摘されている。

 

再エネでエネルギーの安全保障のために

 

上述のように世界においては安定供給型電源として進化を続ける再生可能エネルギーと電⼒貯蔵を活用したエネルギーの安全保障を強化する動きが始まっている。我が国においても、直近では、系統用蓄電池事業が活発化しており、2040年 の電源構成でトップ電源となる太陽光発電と蓄電 池を組み合わせた安定供給型電源の拡大を推 進していかねばならない。今後は、エネルギーの安全保障の観点から継続的かつ具体的な「太陽光発電と蓄電池の導入加速計画(ロードマップ)」 を策定し、太陽光発電を活用した安定供給型電 源の拡大に向けた制度設計と市場形成を進めていくことが必要となる。

 

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