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2010年代の太陽光発電の目覚ましい発展の総括と今後の課題

2019.11.10

2010年代が残り1ヶ月となり、2020年代が幕開けようとしている。太陽光発電にとっての2010年代は、基幹エネルギーへの道を切り開く飛躍の10年となった。

2010年代10年間の太陽光発電の発展を概観すると、表1に示すように、太陽光発電は過去の各年代と比較しても想定を遙かに上回るスピードで進展し、この10年間で輝かしい進化を遂げている。世界の年間導入量は17GWから110GW(推定)へ大幅に増加し、太陽電池価格も1.8~3.6ドル/Wレベルから0.2~0.3ドル/Wレベルへ大幅ダウンを実現している。主要導入国もドイツ、イタリア、日本、米国の特定先進国が中心で、年間1GWを超えるGW導入国はドイツとイタリアのみであったが、今や中国、インドもトップランナー群に加わり、GW導入国も各国の再エネ導入政策により20ヶ国に迫る勢いとなり、太陽光発電の導入が全世界に広がり始めている。このような劇的な発展の背景には、短期間で導入拡大を可能にするFIT制度の採用国拡大、中国企業の参入による急速な供給力拡大とコストダウン、技術開発による太陽光発電システムの性能向上が原動力となり、さらに、パリ協定発効と金融機関による脱炭素化技術への重点投資が加わったことによるものである。太陽光発電に対する社会認識も、「割高で支援を要するが、将来電源としての利用可能なエネルギー」から「将来の基幹電源として社会に貢献するエネルギー」へと大きく様変わりしている。

一方、日本の状況は、2010年時点では、年間導入量0.99GW、累積導入量3.6GW、住宅用システム価格56万円/kWであり、住宅用太陽光発電システムの余剰電力を48円/kWhで買い取ることで、普及促進を図っていた。エネルギー政策では「第3次エネルギー基本計画」の策定により、再生可能エネルギーの導入拡大を最重要課題と位置づけ、FIT制度の法制化に向けての原案を完成させたところから始まる。FIT法の施行は2012年7月からとなったが、これがその後の太陽光発電の爆発的な導入拡大の引き金になるとともに、エネルギーミックスにおける2030年の太陽光発電導入目標64GW設定、再生可能エネルギーを主力電源へ位置付ける「第5次エネルギー基本計画」の策定ㇸと繋がり、世界トップ級の導入量と大幅な価格ダウンが実現した。この結果、2019年末時点でのわが国の太陽光発電は年間導入量7GW(DC)、累積導入量63GW(DC)、住宅用システム価格25万円/kWのレベルへの到達が見込まれる。この間、環境省、農林水産省、国土交通省などからの取り組み強化、産業・公共・電気事業用市場、EPC、売電事業、O&Mなどの新産業形成、RE100に代表されるユーザー側からの導入アプローチも生まれている。その反面、急速な太陽光発電の導入拡大で、国民負担の増大、系統制約、地域での共生、長期安定稼働、発電コストの低減などの早急に克服すべき課題も目白押しである。

このような2010年代の太陽光発電の大発展を受けて、IEAは「World Energy Outlook 2019」で、今後の太陽光発電の導入見通しを2030年2,537GW、2040年4,815GW(持続可能発展シナリオ)へと上方修正している。2020年代は、途上国での太陽光発電の本格導入が進むとともに、電力ユーザーからの強力な取り組みや蓄電池を初めとする周辺技術との融合が急速に進むと予想され、太陽光発電は大規模発電所と分散型電源を両軸とする発展が相まって、「経済合理性と安定電源性を両立する電源」として、風力発電とともにエネルギー大転換を主導する10年となろう。国内では現在、FIT法の抜本的見直しが進められているが、普及・利用政策だけでなく、産業、技術開発、地域振興、輸出展開などの各種政策においても、今後10年先の太陽光発電の急進展を想定した多面的な政策展開が求められている。これまでわが国が築いてきた太陽光発電の総合力を、量だけでなく質を重視する普及拡大の展開力に変えて、太陽光社会作りで世界をリードすべきである。2010年代の成功と失敗を教訓にして、政府、産業界、電力需要家、金融業界、技術開発機関が総力を結集して、輝く2020年代を切り開いていこう。決して太陽光発電の今後の発展スピードと広がりを見誤ってはならない。

 

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