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株式会社 資源総合システム

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新たな導入形態、自治体による「地域集中導入」の幕開け

2022.07.11

環境省が今年度から進める「脱炭素先行地域づくり」に採択された、地方自治体による再生可能エネルギーの地域集中導入が始まる。これまでのFIT法の下での導入に対して、改正地球温暖化対策推進法に基づく新たな導入形態が生まれようとしている。FIT法では、個がベースで事業認定を通じての導入拡大であったが、脱炭素先行地域プロジェクトでは、地方自治体がベースで採択地域を通じての面的な集中導入展開となる。導入への財源は、これまでの電力需要家からの再エネ賦課金から、改正地球温暖化対策推進法に基づいて創設された、再エネ推進交付金へと変わる。

 

環境省は、2025年までに100ヶ所程度の脱炭素地域の選定を予定しており、今回が第1回目の採択となった。79件の応募に対して先進性や模範性、さらに実現可能性から採択された脱炭素先行地域は表1に示すように、19道府県26の地方自治体が選ばれている。北海道から九州まで、また大都市圏から農山漁村・離島まで幅広く、地域特性に応じた多種多様な計画が示されている。脱炭素先行地域は、2030年までに家庭やオフィスなど民生部門の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロを目指し、地域単位での脱炭素社会形成のモデルとなる。採択される条件として「再エネ設備整備(自家消費型、地域共生・地域裨益型)」が必須となっているため、住宅、民間施設、公共施設、市有地、ため池、農地などへの太陽光発電導入をベースとする計画が大半となっており、太陽光発電の導入計画量は、計150MWに達している。採択された各自治体の太陽光発電の導入計画量は、脱炭素先行地域の電力需要規模や状況に応じて大きく異なっており、190kWから最大19,100kWまでの幅がある。

 

今回採択されたプロジェクトには、再エネ設備だけでなく、蓄電池、自営線等の整備や省CO2設備の導入までカバーされ、地域の特性や強みを生かしての脱炭素実現への自由度も高い。既存のエネルギーインフラから再エネの地産地消に転換する“地域におけるエネルギーリフォーム事業”とも言えよう。再エネ、電力貯蔵、省エネを駆使した社会実装レベルでの地域脱炭素化への国家的展開は、世界に先駆けるものであり、地域集中導入方式を新たな推進力にして、環境省が目指す自治体による全国展開「脱炭素ドミノ」へと、大きく発展させていかねばならない。

 

太陽光発電の普及展開には、現在「地域との共生」という大きな課題を抱えており、太陽光発電導入拡大には地域との合意形成が求められている。脱炭素先行地域は、地方自治体内部の推進体制と需要家、再エネ発電事業者、企業、金融機関との連携体制の基に、再エネ導入が進められることになっているので、「地域との共生」への課題解決、ひいては地域が積極的に進めていく再生可能エネルギー導入展開にも大きく貢献することとなろう。

 

太陽光発電産業にとっては、脱炭素を進める地方自治体に対してPPA方式を活用して、「地域一括再エネ電力安定供給」というビジネスモデルも考えられるであろう。

世界的には民間企業による「RE100」が広がっており、日本も最近になって年を追う毎に「RE100」への参加企業が増えている。しかし、地域ベースでの「RE100」はこれからであり、今回の「脱炭素先行地域づくり」を通じて、地域・自治体による「RE100」運動の輪を日本から発信し、世界に広げていくこともできよう。

 

7月から脱炭素先行地域2回目の公募が始まる。第1回の採択案件をベースにして、地域脱炭素化モデルのレベルアップや多様化も図り、地域集中導入による地域課題の解決とエネルギー自給率向上を目指した、新たな再エネの導入展開に弾みをつけていこう。

 

表1 太陽光発電市場別導入量予測(DCベース)

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