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2030年への分野別市場展望と導入量を予測、加速可能な市場形成を

2022.06.09

2022年度に入り、エネルギー供給強靱化法、改正地球温暖化対策法が施行され、太陽光発電をめぐる新たな市場形成が始まっている。新たな普及環境下でのわが国の太陽光発電市場を分野ごとに展望すると、住宅分野では、電気料金の上昇とレジリエンスの強化を背景に、新築戸建は大手から中堅ハウスメーカー及び一部地域・地場の工務店での太陽光発電標準設置が進展するだけでなく、蓄電池の併設によるZEHも拡大していく。2025年以降には、建築物省エネ法改正による省エネ基準への適合義務化が始まり、太陽光発電導入が加速していく。既築戸建では、政府及び自治体による既築住宅への省エネ改修支援や導入コスト不要のPPA方式による導入が浸透していく。集合住宅も、大手分譲集合住宅メーカーや賃貸集合住宅メーカーによる太陽光発電の標準設置化が進展していく。既築集合住宅に対しては、大規模修繕機会を捉えた導入取り組みも始まる。

 

民間施設(工場、流通施設、業務ビル、事務所、商業施設等)分野では、電気料金の上昇とカーボンニュートラルへの対応強化を背景に、新設に対してはZEB化や太陽光発電標準装備化が進展するとともに、既築に対しては、PPA方式を採用したオンサイト型太陽光発電の導入拡大が定着していく。さらに、脱炭素経営、企業価値向上、BCPへの対応に向けて、再エネ電力調達拡大のための太陽光発電の導入も加速していく。駐車場や外壁などを活用した太陽光発電の設置場所の多様化も進み、一施設に対する太陽光発電導入容量が大型化していく。

 

公共施設及びインフラ施設分野では、「地球温暖化対策計画」及び「政府実行計画」に基づき、公共施設への率先的太陽光発電導入が実施され、2030年までに設置可能な公共施設の50%以上に太陽光発電の導入が進んでいく。国土交通省では「国土交通省環境行動計画」に基づき、空港施設を皮切りに、道路、鉄道、公的賃貸住宅、公園などインフラ施設空間全体にわたって太陽光発電導入が広がっていく。さらに、全国の地方自治体もまた、所有する公共施設や公有地への太陽光発電導入を計画的に展開していく。

 

地上設置分野では、特高は旧FIT認定の未稼働案件が中心で、新規はポジティブゾーニングをベースに跡地、未利用地、公有地を活用した導入が始まる。高圧は、ポジティブゾーニングをベースに、跡地、未利用地、空地、公有地を活用した導入が継続していく。この他、FIT/FIP制度を活用しないオフサイト型コーポレートPPAや、自己託送を活用した“地域共生メガソーラー”や“自治体メガソーラー”などの新たなタイプのメガソーラーが勃興していく。低圧は、遊休地、空地、駐車場等を活用した非FITでの集積型及びFIT制度による地域活用展開が継続していく。

 

新興分野では、農地活用型は、農林水産省主導による、営農型太陽光発電システムの導入へのルール作りを通じた太陽光発電導入が徐々に進展していき、農業における太陽光発電システム導入メリットが浸透していくとともに、農業委員会による営農型太陽光発電システム設置への農地転用許可が円滑化していく。さらに、荒廃地の農地再生につながる太陽光発電導入や営農地を活用した大規模導入の実証も始まっていく。

 

水上設置では、ため池、農業用水池等これまでの導入実績がベースとなり、ポジティブゾーニングを通じて地方自治体との連携による導入が拡大していく。一方、所管省庁の規制緩和と導入ルール作りを通じての、導入が可能となる取り組みも進んでいく。

 

以上のように、分野別の市場に対する導入展望を基に、第6次エネルギー基本計画における導入目標量達成を現状成長ケース(BAU)にして、さらに導入環境の大幅改善と自給率向上のスピードアップを導入加速ケース(ACC)にして、市場規模を予測すると図1に示すように、これまで市場を牽引してきたメガソーラーを中心とする地上設置分野に替わって、住宅、民間施設、公共・インフラ施設等の需給一体市場が大きく伸び、さらに、農地活用、水上設置などの新たな市場が立ち上がってくるなど、バランスの取れた市場が形成されていく。

 

このような新たな太陽光発電の市場形成を円滑に進めるためには、太陽光発電システム及び蓄電池のコストダウンやPPA等のビジネスモデルの進展に加え、ポジティブゾーニングによる地域共生の広がりや、責任省庁を中心とする政策対応の強化による系統制約や立地制約の解消の早期化が大前提となるので、国を挙げての市場形成への役割分担と取り組みの抜本的強化が一層重要となる。わが国は2030年以降も見据えて、世界に先駆けた加速可能な太陽光発電市場形成を図っていこう。

 

図1 太陽光発電市場別導入量予測(DCベース)

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