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株式会社 資源総合システム

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多様化する太陽光発電の導入量を一元的に管理できる仕組みを

2022.11.09

多様化する太陽光発電の導入量を一元的に管理できる仕組みを
経済産業省は、第6次エネルギー基本計画の実現に向けて、再エネの大量導入の円滑化と加速化に向けて、新たな普及環境整備に乗り出している。
経済産業省、環境省、国土交通省、農林水産省が共同事務局となってとりまとめた「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会の提言」(2022年7月)に基づいて、経済産業省は制度的な検討を要する論点整理を、地域と共生した再エネ導入、再エネ大量導入、電力ネットワークの次世代化という3つの視点から行い、事業規律の徹底と、既設再エネの最大限の活用策を図る専門的な議論を、スピード感を持って進めていく審議会として、新たに「再生可能エネルギー長期電源化・地域共生ワーキンググループ」を立ち上げた。

 

地域と共生した再エネ導入では、再エネ特措法の認定に関係法令の許認可取得の要件化、関係法令の違反状態における売電収入の交付留保、使用済み太陽電池パネルの撤去、処理までの制度間の連携強化、導入地域住民への事前説明会の義務化などが挙げられている。再エネの大量導入では、適地への最大限導入へのFIT・FIP制度における入札免除措置、既存再エネの有効活用のための太陽電池パネルの更新・増設を促す買取価格ルールの見直し、需給に応じた再エネ供給促進のためのFIP移行認定発電設備の蓄電池事後設置ルールの見直し、低圧太陽光発電所に対するFIP制度の対象化などが提示されている。電力ネットワークの次世代化では、マスタープラン等を踏まえた系統整備、系統接続・利用の高度化などが含まれている。

 

太陽光発電は、旧FIT制度により10年間で爆発的な導入の伸びを示したが、一方では安全面、防災面、景観面等で地域との共生が十分に図れておらず、今後の地域での大量導入に大きな障害にもなろうとしている。太陽光発電にとって分散型電源として地域との共生は導入拡大への基本である。旧FIT法による全量売電ベースでの導入では収益第一主義となって、地域との共生が生まれにくかったかも知れないが、地産地消、自家消費等地域活用による全量消費ベースでの導入に転換していくならば、地域経済の成長・発展を支える地域との共生、さらには地域からの共感に変えていくこともできよう。

 

これまで、我が国の太陽光発電導入量は、固定価格買取方式による導入量が我が国全体の導入量と言っても過言ではない状況にあったが、ここにきて「第6次エネルギー基本計画」及び「地球温暖化対策計画」に基づく新たなステージへと移行し、今後、表1に示すように、導入方式が多様化することが予想されている。これまでわが国の太陽光発電の導入量は、経済産業省が一元的に管理する太陽光発電の事業認定量と運転開始量により、毎年の導入量が正確に把握できたが、これからの導入は、旧FIT制度による未稼働分の導入、現FIT・FIP制度による導入、各省の所管施策に基づく予算・補助金による導入、地方自治体単独補助金による導入、PPA方式を活用した導入など導入支援を受けない国民・産業からの自主導入、リパワリングによる追加導入、寿命・自然災害等による撤去等、多岐にわたっていくので、導入量が記録されるルールを決めておかないと、導入量の把握は難しくなると懸念される。

 

現段階では、旧FIT制度・現FIT・FIP制度、各省による予算・補助金による導入が大勢を占めるので、事業認定に基づく運転開始量に各省からの実績を集約することで、導入量の把握・管理は可能である。しかし、今後PPA方式を活用した自主導入が浸透していくと見込まれ、その導入量の把握は次第に難しくなろう。太陽光発電は再エネ電源として主軸となる国家目標があり、導入量の把握はエネルギー・環境政策立案への基礎数値としてばかりでなく、広域にわたる分散型電源の精度の高い発電量予測と系統運用、日々の電力需給管理、地域のエネルギー・安全の確保、今後の太陽光発電事業への基礎情報としても重要で、こうしたことを想定した導入量の一元的管理の仕組みを早急に整備していかねばならない。

 

以上のように、今後の我が国の太陽光発電は、分散型電源として需要家からの自主導入が進むとともに、既存のリパワリングによる導入拡大、さらに徐々にではあるが撤去による減少分が混在していくこととなり、2030年の導入目標量の達成に向けて、さらに脱炭素社会の形成に向けて、これらを踏まえた年間導入量、発電能力、設備稼働率、年間発電量などの太陽光発電をめぐる基盤情報を把握・公表できる仕組みを、官民協力して早期に確立しておく必要があろう。

 

表1 多様化していく今後の我が国の太陽光発電導入方式

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