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エネルギーセキュリティの面からも太陽光発電の導入加速が進展

2023.01.13

ロシアによるウクライナ侵攻によって、エネルギー情勢が一変した激動の2022年が終了する。世界はエネルギー需給の逼迫とエネルギー価格高騰への対応に終始する1年となった。こうした中で再生可能エネルギーは、これまで気候変動対策や脱炭素社会形成を目指して導入拡大が進められてきたが、エネルギーセキュリティにも対応できる重要な電源としての評価も高まり、導入拡大への政策が強化された1年でもあった。太陽光発電についても表1に示すように、導入加速に向けて大きく進展した。

 

表1 2022年の太陽光発電を巡る重大(10大)ニュース
2022重大ニュース

世界では、アメリカは「国防生産法(DPA)」の発動と「インフレ抑制法(IRA)」の成立により、ヨーロッパは「RE Power EU」及び「ソーラー・エネルギー戦略」の策定により、太陽光発電産業の強化と導入拡大を加速することとなった。中国は2030年風力・太陽光発電合わせて1.2TW以上とする導入目標量に向けて、第14次5ヶ年計画となる「再生可能エネルギー計画」を策定した。インドもまた生産連動型インセンティブ(PLI)により65GWの太陽電池生産工場建設を支援する。

 

2022年の世界の太陽光発電年間導入量は、前年の175GWから210GW(速報値)へと大幅な伸びを示した。国別では、中国90GW、アメリカ18.6GW、インド17GW、ブラジル12GW、ドイツ7GWとなり、年間10GWを越す国が4ヶ国に増えた。累積では1TWを突破し、2TWに向けて着実な成長が続くと見込まれる。2020年にIEAは太陽光発電を2020年代に新設される電源の“キング”と位置付けたが、2022年の見通しでは太陽光発電の導入は今後も急拡大し、2027年に石炭火力を抜き世界最大の電源になると予測している。

 

国内では、「第6次エネルギー基本計画」と「地球温暖化対策計画」を行動に移す1年となった。岸田首相を議長とするGX実行会議は、「GX実現に向けた基本方針」を決定した。化石エネルギーからの脱却を目指し、再生可能エネルギーと原子力を最大限活用することが明記された。再生可能エネルギーに関しては、2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギー比率36~38%の確実な達成を目指し、太陽光発電については、直ちに取り組む対応として、公共施設、住宅、工場・倉庫、空港、鉄道などへの導入拡大を進めるとともに、地域主導の再エネ導入を図る方針が示された。経済産業省は、「FIP制度」「認定失効制度」「廃棄費用積立制度」など新たな制度の開始、地域との共生に向けた事業規律のとりまとめ、ノンファーム型接続の適用や系統利用ルールの見直し等系統制約・出力抑制への対応、設置・施工をめぐる規制改革、省エネ法の改正を進め、普及環境を強化した。環境省は、脱炭素先行地域46ヶ所を選定し、自治体主導で進める地域集中導入事業を開始するとともに、民間企業による自家消費型太陽光発電導入への支援を強化した。国土交通省は、住宅への省エネ基準適合を義務付ける「改正建築物省エネ法」を成立させるとともに、空港だけでなく道路、鉄道施設にも広げて、公共インフラ施設への導入拡大を進めている。自治体では、再エネ導入目標量の設定、再エネ導入促進区域の設定、自治体所有施設への太陽光発電導入、導入補助金創設など、多くの自治体が再エネ導入拡大への取組みを始動した。東京都は2025年度より新築住宅への太陽光発電設置の義務化を条例で定めた。この動きは川崎市にも広がっている。

 

一方、2022年の国内導入量は旧FIT認定分の稼働に加え、環境省による導入支援補助金と、FIT/FIP制度による導入が加わったが、2021年と同規模の6.5GWDCと推定される。PPA方式の採用で、住宅及び工場・倉庫等建物市場は拡大したが、新制度への対応の遅れや太陽電池価格の高騰もあり、新規導入案件形成への端境期にあると考えられる。

 

太陽光発電産業では、新たな普及環境に入り、オンサイト及びオフサイト型のコーポレートPPA方式のビジネスモデルを活用した事業展開への移行を進めている。旧FIT時代の太陽光発電ディベロッパー(含EPC)と在来型エネルギー産業や商社などが連携して、電力需要家と一体となった新たな太陽光発電導入事業も勃興している。旧FIT制度下での未稼働案件の減少が進む中で、太陽光発電産業は市場拡大に向けた発展への道を模索中である。しかし、市場では電気代の値上がりやPPA方式の浸透を背景に、太陽光発電導入への気運は高まっており、2023年は脱炭素を牽引する太陽光発電産業の発展像を官民で描き、2030年120GWの導入へと向かう市場復活への力強い年に変えていこう。

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