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G7メンバー国として、“2030年PV 1TW以上の導入”への貢献を

2023.06.08

5月は主要7ヶ国首脳会議(G7広島サミット)が開催され、多岐にわたる内容の首脳宣言が発表された。エネルギー分野では、4月に札幌で開催されたG7気候・エネルギー・環境相会議の共同声明が首脳宣言に反映され、2050年までにカーボンネット・ゼロに向けて、各国のエネルギー事業、産業、社会構造及び地理的条件に応じた多様な道筋を認め、再生可能エネルギーのグローバルな利用拡大を含めた、エネルギー安全保障、気候危機、地政学的リスクへの取組みを強化していくこととなった。再生可能エネルギーに関しては、その導入や次世代技術の開発・実装を大幅に加速する必要があり、G7は、2030年までに太陽光発電の累積導入量を1TW以上に増加させ、洋上風力の容量を合計で150GW増加して、再生可能エネルギーの世界的な導入拡大とコスト引き下げに貢献すると明記された。

 

IEA・PVPSのSnapshotレポートによれば、2022年の世界の年間導入量、累積導入量はそれぞれ240GW、1.2TWであった。
年間導入量1位は中国 106GW、2位はアメリカ18.6GW、3位はインド18.1GW、累積導入量は、中国 414.85GW、アメリカ 141.6GW、日本 84.9GWであった。G7全体では年間導入量39.2GW、累積導入量357.1GWであり、世界全体に対する占有率は、年間導入量で16.3%、累積導入量で30.1%である。2030年1TW以上という導入規模は、現在の世界全体の累積導入量に相当し、2030年のG7の年間導入量は現在の3倍となる100GW規模へ拡大する必要がある。

 

G7各国の太陽光発電の導入量を2022年の実績と、各国の今後の導入目標量や施策展開を基に試算すると表1に示すように、2030年には1,175GWとなると想定できるが、その実現は容易ではなく、G7各国は一層の導入拡大策と実行が求められてくる。

 

G7の中で、2030年における導入目標量がすでに設定されている国は、アメリカ、ドイツ、日本、イタリアの4ヶ国で、フランスは2028年時点、イギリスは2035年時点での導入目標量が設定されている。アメリカは2030年550GWAC(=660GWDC)、ドイツは215GWDC、日本は118GWAC(=142GWDC)で、100GW以上の導入を予定しているが、イタリア、フランス、イギリス、カナダは最大50GWレベルなので、1TW以上の導入実現は、アメリカ、ドイツ、日本の3ヶ国が主導することとなる。特に、アメリカの導入量は全体の56.2%を占めているので、アメリカの導入量が大きなカギを握っている。

 

アメリカは、太陽光発電の導入の加速に合わせて、太陽電池等の国内生産量の拡大を通じた安定調達と、蓄電池等の調整電源の整備を同時に進めていく必要があるが、「インフレ抑制法(IRA)」と「国防生産法(DPA)」の下で、太陽光発電利用拡大を強力に進めていくことになる。しかし、500GWを超すとなるとさらなる支援施策や法整備も必要となろう。ドイツは原子力から完全撤退し、再エネの導入拡大を進めている。「改正再生可能エネルギー法」で示された2030年215GWの導入目標量を達成するために、「太陽光発電戦略」を2023年5月に策定している。同戦略では、2024年以降2030年まで2年毎の導入目標量を明示し、2026年以降の年間導入量を22GW水準に安定化させる道筋として、地上設置型システムの拡大、屋根への太陽光発電導入促進、ネットワーク接続のスピードアップ、太陽光発電の受容強化、税制の活用、国内/EU域内サプライチェーンの確保、高度な技術開発等からなる実現への行動計画を示している。

 

これに対して現在日本では、経済産業省によるエネルギー政策及び環境省による環境政策をベースに導入拡大が進められているが、今後はエネルギーセキュリティを含めた「GX実現に向けた基本方針」の下に進められていくこととなる。G7メンバー国としてクリーンエネルギー経済の実現に向けて、脱化石燃料やエネルギーセキュリティへの対応を加速するとなると、それは再エネ導入の加速であり2030年という短期間で考えると太陽光発電が主軸となる。電力需要家側からも、太陽光発電を中心とする再エネ電力転換への動きも活発化している。日本もアメリカやドイツのように、2030年以降も見据えた国家戦略として、エネルギーセキュリティも重視した太陽光発電の導入拡大と太陽光発電産業強化を練り直す必要があろう。日本は2030年の導入目標を確実に達成するとともに、G7の“2030年PV 1TW以上の導入”に貢献していかねばならない。

 

表1 G7各国の太陽光発電導入量推移(~2022年)と見通し(2023年以降は試算)                    単位:GWDC

Installation Volume ※1 2020~2021年実績(英国以外):IEA PVPS「Trends in Photovoltaic Applications 2022」

※2 2022年実績(英国以外):IEA PVPS「Snapshot of Global PV Markets 2023」

※3 英国の導入量実績:国際再生可能エネルギー機関(IRENA)「Renewable Capacity Statistics 2023」

※4 日本及びアメリカの過積載:AC:DC=1:1.2と想定

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