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2030・2035年度に向けた太陽光発電年間導入量を市場別に予測

2023.11.08

2030年度及び2035年度の太陽光発電導入量について、先月に引き続き今月は市場別に 展望し導入量を予測する。

 

日本の太陽光発電市場を取り巻く普及環境は、在来型エネルギー価格の高騰、FIT・ FIP制度への移行、関係府省庁による新たな導入方式への補助金の新設及び普及への法 改正や規制改革推進、PPA方式による導入の浸透、制度や補助金等の支援を受けない自 主導入の幕開け、脱炭素社会形成に向けたGX推進の追求、電力需要家群からの再エネ 電力への転換の進行等、大きく様変わりしている。このような新たな普及環境下では、 太陽光発電の自立的な導入拡大に向けて、以下に示す建物系及び非建築物系の両分野で バランスの取れた市場形成が進もうとしている。

 

住宅市場では、電気料金の上昇と災害時等への備えに加えて、建築物省エネ法改正に よる省エネ基準への適合義務化に対応するために、太陽光発電標準設置が大手から中堅 ハウスメーカー及び地域・地場の工務店へと広がる。さらに、東京都や川崎市を初めと する自治体による新築住宅への設置義務化も大きな後押しとなる。

 

民間建物市場(工場、流通施設、業務ビル、商業施設等)では、電気料金の上昇とカ ーボンニュートラルへの対応強化を背景とした、PPA方式によるオンサイト型、さらに オフサイト型の太陽光発電の導入の拡大や省エネ法及びレジリエンスへの対応を進め るための再エネ電力調達が加速して、太陽光発電の標準装備化が進展していく。

 

公共施設・インフラ施設市場では、「政府実行計画」に基づく公共施設への率先的太 陽光発電導入の実施により、府省庁施設だけでなく全国の地方自治体所有の公共施設へ の導入展開が進んでいく。さらに「国土交通省環境行動計画」に基づき、空港への導入 にとどまらず道路、鉄道、公的賃貸住宅、公園などインフラ施設空間全体に広げた導入 が始まっていく。

 

地上設置市場は、2025年頃までは旧FIT認定案件の稼働を進めながら、新たに自治体 によるポジティブゾーニングをベースとした跡地、未利用地、公有地を活用した“地域 共生メガソーラー”や“自治体メガソーラー”へ移行していく。さらに遊休地、空地、 駐車場等を活用した、FIT・FIP制度に頼らない売電先との相対取引のオフサイト型地上 設置も進展していく。

 

農地活用市場では、農業の健全な発展を大前提に、農林水産省主導による、営農型太 陽光発電システムの導入へのルール作りを通じた導入が徐々に進展していく。その結 果、営農と発電の両立が可能という実績や、荒廃地の農地再生につながる太陽光発電導 入実績に基づき、農地転用許可の円滑化や農家における農地への導入メリットの理解が 浸透して導入が進み始める。

 

水上設置市場では、ため池、農業用水池等これまでの導入実績をベースとした導入や ポジティブゾーニングを通じて所管地方自治体との連携による導入が進展していく。

 

このような展望を基に、第6次エネルギー基本計画における導入目標量達成を現状成 長ケース(BAU)とし、また、立地及び系統制約の大幅改善と自給率向上の加速を導入加速ケース(ACC)として、今後の太陽光発電の市場規模を予測すると図1に示すよう に、2030年までは需給一体型を中心に、住宅、民間施設、公共施設等の建物分野での市 場拡大が進んでいく。その後2035年度に向けてはさらなる導入拡大を目指し、建物分野 に加えて関係府省庁の総力を挙げた施策展開のもとに、技術開発、法律、制度、規制改 革を駆使して、道路、鉄道、農地、国有地等既に利用されている土地を活用した複合利 用型の非建物分野での導入が広がると見込まれる。特に、立地制約を抱える日本にとっ ては、カーボンニュートラルを進めるために、農業に支障なく農地活用ができることを 示すことが重要である。2030年までには、農業と発電の共存が図れるという実績を充分 積み上げ、耕作地及び荒廃農地へのそれぞれの導入課題をクリアしていかねばならな い。さらに、2030年以降は“営農型”を農業の発展につなげる“栄農型”あるいは“豊 農型”へと進化させ、農業と発電を一体化しても食とエネルギーの安全保障を同時成立 できる、共存共栄型の農地活用市場の確立が求められる。

 

Forcast Installed Volume図1 市場別太陽光発電導入量予測(DCベース)

 

出典:㈱資源総合システム「日本の太陽光発電導入量予測(2023-2035年)」(2023年10月)

 

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