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2023年の太陽光発電世界導⼊量は爆発的拡⼤、400GW目前

2024.01.10

エネルギー情勢が激変した2022年を受けて、2023年は再生可能エネルギーの導入が世 界的に加速した。12月にUAE・ドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議 (COP28)では、化石燃料からの移行の加速、2030年までの世界の再生可能エネル ギー発電設備容量の3倍(11TW)への拡大などが合意され、世界各国での再生可能エネ ルギーへのシフトが、今後さらに強まることになろう。

 

2023年の太陽光発電の動向は表1に示すように、導入量が爆発的に拡大する記録的な 年となった。2023年の世界年間導入量は373GW(推計値)と見込まれ、このうち中国が 200GW、アメリカ33GW、欧州連合(EU)56GW、インド20GWと推定されている。再エネ促進をめぐる政策も強化され、アメリカは「インフレ抑制法(IRA)」に基づく太陽 光発電の国内生産体制整備と、太陽光発電産業振興にむけての技術開発が大きく進展した。EUは2030年までに総エネルギー消費における再エネ比率42.5%達成を義務化し、域 内での製造支援策として「グリーンディール産業計画」を策定した。特にドイツは「太 陽光発電戦略」を策定し、2030年までの太陽光発電累積導入目標量を215GWに設定し、 2026年までの年間導入量を22GW/年に引き上げた。中国は「再生可能エネルギー計画」 に基づき、2023年の導入では太陽光発電と風力発電の合計で160GW、2024年の太陽電池 生産量では450GW超とする目標を発表した。インドは「国家エネルギー計画」を策定し、 太陽光発電累積導入目標量を2031/2032年度までに365GWに設定した。

 

Top10 News

表1 2023年の太陽光発電を巡る重大(10大)ニュース

 

太陽電池の市場価格は、世界的な生産過剰により15セント/Wを切る水準へと大幅下落し、在来型エネルギーに対する優位性が益々拡大している。太陽光発電産業は中国を中心に、変換効率20%を超す大出力太陽電池パネル生産設備の拡張競争が激化し、パネ ルサイズの統一化への移行も始まっている。アメリカ、ヨーロッパ、インドなどでは、 太陽電池の中国依存からの脱却を目指して、新たなサプライチェーン構築が進められて おり、世界の太陽電池生産能力が1TW/年を突破しようとしている。

 

国内では、「GX推進法」及び「GX脱炭素電源法」が成立し、政府は「GX実現に向けた基本方針」を「GX推進戦略」へと進展させ、GX経済移行債を活用したペロブスカイ ト太陽電池や蓄電池を含む13兆円の「GX投資戦略」を策定した。経済産業省は、「GX 脱炭素電源法」に基づいて、地域との共生を図る新たなルール作り(認定の厳格化、説 明会の実施、再エネ賦課金返還命令の創設、リサイクル対応、長期安定電源化等)、屋根設置拡大へのFIT価格の新設、出力制御抑制への対応パッケージなど、普及環境整備 に傾注した。環境省は、2022年に引き続き脱炭素先行地域28件を選定し、自治体による 地域への導入展開を継続している。さらに、政府保有地・施設への太陽光発電導入目標量を2030年114MWに設定した。

各自治体は、再エネ導入目標量の設定、再エネ導入促進 区域の設定、所有施設への太陽光発電導入、導入補助金創設、共同購入など再エネ導入 促進活動を活発化させた。市場では、太陽光発電導入へのFIT・FIP入札での平均落札価 格は8.55円/kWh、最低落札価格は7.94円/kWhに下がり初めて8円/kWhを切る水準を達成 した。2023年の国内太陽光発電市場は6.6GWDC(推定)、累積導入量は90GWDC規模に到 達したと見込まれる。太陽光発電産業分野では、オンサイト及びオフサイトコーポレー トPPA方式による事業展開への移行の加速に加え、バーチャルPPA方式とFIT・FIPを使 わない自主導入への対応も開始している。太陽光発電協会(JPEA)は、太陽光発電産業 の新ビジョン「PV Outlook 2050」を公表し、日本の太陽光発電累積導入量2030年度 125GWAC、2050年度376GWACへ上方修正した。

 

世界は年間500GW時代に向けて動いている一方で、わが国は新FIT・FIP制度に移行して以来、太陽光発電の導入量は6~7GWDCで低迷している。2024年はこれが再び上昇基 調に転じるか、減少に向かうのか、太陽光発電の将来に向けて大事な局面を迎えること となろう。第7次エネルギー基本計画策定に向けた議論も開始されることとなっており、 化石燃料からの移行を加速するためにも、太陽光発電業界と政府は結束して、太陽光発 電を信頼される電源として、自治体や電力需要家群とともに、総力を挙げて再び発展拡 大に向かう年に変えていかなければならない。

 

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