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太陽光発電事業展開は⾃⽴に軸足を

2024.02.08

世界はCOP28の合意に基づいて、2030年までに世界の再生可能エネルギー発電容量の3倍となる11TWへの拡大に向けて動き出す2024年が始まった。

 

日本では、第1次オイルショックを受けて1974年に始まった、石油代替エネルギー開 発の国家プロジェクト「サンシャイン計画」の発足から50年を迎える。太陽からの光を 直接電気に変える太陽光発電は、それまで高価な特殊電源と考えられていたが「サンシャイン計画」の中で石油代替エネルギーの一つとして取り上げられたことで、国産エネ ルギー化に向けて夢と言われていた太陽光発電の技術開発が始まった。今日では夢は現実となり、これから未来に向けての本当の発展が始まる。ここに到るまでとこれからの 展開を10年単位で捉えると表1に示すように、1970年代は目標を決めて技術開発を始めた10年、1980年代は技術開発と実証に明け暮れた10年、1990年代は普及を決断し、初期 市場を切り開いた10年、2000年代は生産と導入で世界一を経験し、本格的な普及制度整 備に向かう10年、2010年代は導入量の拡大を進め、主力電源化を決断した10年、2020年代は自家消費電源として太陽光発電の自立化を目指す10年という、一貫した国産エネル ギー化への展開で今日に到っており、現在も進行中である。当面のゴールは2050年のカ ーボンニュートラルであり、今後も幾多の課題をこなしながら、2030年代は主力電源として安定供給を担い、2040年代は主力電源から主力エネルギー源へと進化していくであ ろう。

 

表1 太陽光発電成長へのこれまでの歩みとこれから

PV Market Growth

 

かつての「サンシャイン計画」に相当する現代の大型国家プロジェクトは、2050年カ ーボンニュートラルに向けて全府省庁が総力を挙げて取り組む「GX推進戦略」へと発展し、2024年は脱炭素と経済成長の両立を図る「GX推進戦略」を計画から実行に移す年となる。

 

政府はGX経済移行債20兆円を活用し、分野別投資戦略に基づいて、GX実行行への取組みを始める。太陽光発電の大量導入はGX実現への柱の一つであり、先行的に主導できる中核的存在となっている。経済産業省は2024年4月施行のGX脱炭素電源法に基づき、地域と共生した再エネ最大限導入、次世代再エネの導入加速、脱炭素型調整 力の確保と再エネ出力制御低減対策、次世代ネットワーク構築を進めることになってい る。さらに、2021年に策定された第6次エネルギー基本計画を見直し、第7次エネルギー 基本計画策定に向けた新たな計画づくりを始める。化石燃料からの移行を加速していくためには、再生可能エネルギーの導入目標が引き上げられることが必至であろう。この中で、国民負担の軽減と地域との共生という重要な課題への対応が着実に進展して、太 陽光発電の社会受容性が高まることが前提とすれば、一層の導入拡大に向かうことは可能となろう。経済性、変動電源性、系統制約、立地制約という従来からの大きな課題も 依然として横たわっているが、これらは技術開発、法整備、制度設計、規制改革、ビジネスモデル等を通じて、行政及び産業サイドで解決できることである。すでにその対応 も進められているので、今後はそのスピード感と広がりが求められることになる。

 

今日の太陽光発電の導入状況は、2022年度に旧FIT制度による導入展開からFIT・FIP 制度に移行したことで、現行制度の活用による導入は低調ではあるが、旧FIT制度下の 未稼働案件の稼働に加えて、経済産業省、環境省を中心とする関係省庁による普及支援予算による導入、制度も補助金も使わないPPA方式を採用した自主導入等が、新たな広がりを見せている。「GX推進戦略」の実現への取組みで、関係省庁による太陽光発電 導入支援予算は増加傾向にあり、さらに、グリーン電力への転換を進める電力需要家群からの自主導入が増加する時代が到来している。太陽光発電産業はこうした新たな普及 環境を事業発展のチャンスと捉えて、政府支援が続いているうちに、事業の継続が見込 める市場をベースとする自立した事業展開に軸足を移していかねばならない。太陽光発 電事業は、次のステップとして電力需要家群とともに、PPAなどのビジネスモデルを活 用した自主導入ベースの市場形成を本格的に進める時期が訪れている。太陽光発電産業 は「GX推進戦略」が実行に移る2024年を契機にして、導入支援のための補助金や制度を活用しつつ、PPA方式等のビジネスモデル等を駆使して、需要家に負担がかからない 自家消費のための自主導入を重点化し、2030年に向けた太陽光発電導入拡大への推進力 としていこう。太陽光発電は第7次エネルギー基本計画の策定に向けて2030年以降の太陽光発電市場の発展像を示すとともに、責任電源として、安定電源としてGX推進への主導的な役割を担っていかねばならない。

 

 

 

「今月の視点」の英語版”RTS Monthly Perspective”は、こちらからご覧いただけます (英語版は日本語版の1~2週間後に反映されます)

The English version “RTS Monthly Perspective” can be found here. (English version will be released1~2weeks after the Japanese version)

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