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株式会社 資源総合システム

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世界はTW時代を⾒据えた技術開発とビジネス展開へ

2024.07.05

6月は第52回太陽光発電専門家会議(IEEE PVSC52)が米・シアトルで、また、同じ週 に世界最大の太陽光発電に関する展示会(SNEC2024)が中国で開催された。さらに、 その翌週には欧州最大(世界2位)の展示会(Intersolar Europe)も開催された。2023年 末時点の世界の太陽電池モジュールの生産能力は1TW/年に到達しており、世界の年間導入量1TW時代が見えてくる中、これらのイベントでも、脱炭素を担う主力電源である太陽光発電に関する新たな技術の進展や新製品が発表された。

 

太陽光発電に関する学術的に最も権威ある世界三大国際会議のひとつIEEE PVSC52 では、TW時代の実現に必要となる持続可能なサプライチェーンの構築や資源制約の克 服などの視点からの基調講演や特別セッションが行われた。RCT Solutions・Peter Fath氏 は、米国や欧州等での高効率結晶シリコン太陽電池の製造コストの分析結果を示すと共に、コスト高となっても需要地に太陽電池のサプライチェーンを構築し、生産拠点を多 様化することがエネルギー安全保障上重要であると結論づけた。昨年までは学術的な論 文発表が中心であったが、本会議では、米国における太陽電池サプライチェーンの再構 築の動きを受けて、「GW製造における太陽電池技術」、「需要地での製造と導入のた めの人材育成」、「米国の太陽光発電市場のダイナミクス」と題した産業フォーラムが 開催された。米国が太陽電池製造を推進するだけでなく施工・設計等に必要となる人材の育成にも取り組む様子がこれらのフォーラムから伺い知ることができた。

 

Intersolarが開催された欧州・ドイツでは、再生可能エネルギーの導入が急速に進む一 方で、その成長に合わせてエネルギー・インフラの拡大、デジタル化、柔軟化が更に必要とされており、電力・暖房・輸送部門を含めた24時間365日(24時間7日間の意味で”24/7”と表現される)の持続可能なエネルギー供給のための再エネを中心とした分野 横断的なソリューションの実現に焦点が当てられていた。水上太陽光発電のセッションでも水上太陽光発電と揚水発電ダムと系統蓄電池のトライブリッドによるシステム運用・最適化について実証データを基にした議論が展開され、印象的であった。展示会で は、主に欧州メーカーによって、伝統的な屋根材と意匠を合わせた屋根瓦形の太陽電池や、建物の美観を向上させる多様な色彩や表面形状の工夫がされた壁面設置用太陽電池 モジュールが展示され、単なる高性能化・低価格化ではない利活用のニーズを重視した 付加価値で差別化を図る動きなども目を惹いた。欧州でのモジュールメーカーの工場建設の発表や、パワコンメーカーの復活・出展もあり、太陽電池関連製品の欧州域内生産再開が徐々に始まろうとしている。

 

SNECは今年から新たな展示場に移転し、会場の総面積が27万㎡から40万㎡へと約1.5 倍に拡大した。その広大な展示会場では、太陽電池、PCS、蓄電、架台、システム・イ ンテグレーションやO&M、原材料、製造装置の出展があり太陽光発電産業のサプライチェーンが網羅されていた。世界最先端の技術・新製品、新たなビジネスチャンスを求めて中国国内外から50万人を超える来場者があり、混雑した各展示ブースでは活発な商談が繰り広げられていた。太陽電池ではヘテロ接合やバックコンタクトによって高出力・高変換効率が競われていた。モジュールでは海上設置用太陽電池モジュールが各社から出展され、今後の海上設置太陽光発電分野への関心の高さが窺えた。設置方法の新たな技術トレンドとして、ワイヤー懸架式の架台が多く展示されており、傾斜地、水上、 農地といった場所への低コスト設置の実現と導入可能場所の拡大が見込まれる。中国でも高効率・高性能化の追求と、利活用分野の拡大に向けた技術・製品開発が進められ、 太陽光発電世界市場の急拡大を視野に入れた動きが見てとれる。

 

このように世界では活発な技術開発や商品開発が進められており、その一端が表1に 示すように太陽光発電展示会の大規模化としても現れている。東京ビッグサイトで毎春 開催される日本最大のPV Expoに比べると、Intersolarは面積・出展社・来場者もおよそ2 倍の規模であり、SNECは面積4倍、出展社2.3倍、来場者7倍という規模で開催されていることからも、世界の太陽光発電産業がTW時代に挑戦していることが伝わってくる。 世界は太陽光発電の導入加速とサプライチェーンの再構築に動き出しており、日本もこの動きから取り残されてはならない。第7次エネルギー基本計画策定への議論がスタートしており、この中で日本が世界に伍していけるような2040年に向けた太陽光発電の発 展像を示し、産官学が総力を挙げてエネルギー産業の一翼を担う太陽光発電産業のルネッサンスを目指していかねばならない。

 

表1 国際展示会の比較

PV 展示会

 

「今月の視点」の英語版”RTS Monthly Perspective”は、こちらからご覧いただけます (英語版は日本語版の1~2週間後に反映されます)

The English version “RTS Monthly Perspective” can be found here. (English version will be released1~2weeks after the Japanese version)

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