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「第7次エネ基策定」に向けて太陽光発電導入拡大の徹底追求を

2024.10.07

総合エネルギー調査会・基本政策分科会において、第7次エネルギー基本計画策定に 向けた議論が始まって5ヶ月が経過した。これまでに9回の分科会が開催されており、こ れまでの議論を基にした新たな国家目標設定に向けての審議が本格化していく。2021年 の第6次エネルギー基本計画策定後、世界のエネルギー情勢が、ロシアによるウクライナ侵攻によって一変したことで、第7次エネルギー基本計画の策定方針は、“S+3E”の 同時達成というこれまでの基本方針には変わりないが、脱炭素化と同時にエネルギー安全保障にも重点を置くことになった。さらに、現政権下で進められているGX2040ビジョン策定と一体的なものとする必要性から、次期エネルギーミックスについても GX2040ビジョンと連動し、これまでの2030年から、さらに10年先を見据えた2040年へと対象年を延ばすこととなっている。世界各国のエネルギー安全保障への対応を踏まえ、わが国も政府が総力を挙げて、エネルギー政策、産業政策、気候変動対策を一体的に進め、産業の競争力強化につなげるものとしていく。

 

これまでの9回の分科会では、「エネルギーを巡る状況」、「脱炭素電源の現状と課題」、「安定供給の現状と課題及び火力の脱炭素化のあり方」、「次世代燃料、CCUS、重要鉱物等」、「GXに向けた取り組みと省エネ・非化石転換」など、エネルギー基本計画改定に向けた重要なテーマに ついての討議と、経済団体、エネルギー業界、金融業界、消費者団体、学生団体など、 多様な利害関係者や様々な世代からのヒアリングを交えた審議が進められてきた。

 

この中で、経済産業省は図1に示すように、再エネ導入に向けた課題を、①地域との共生、②国民負担の抑制、③出力変動への対応、④イノベーションの加速とサプライチェーン構築、⑤使用済み太陽光パネルへの対応--とし、今後の再エネ導入展開を進め ていくための政策的課題を示している。さらに、太陽光発電については今後の導入拡大を進めていくにあたっての論点を、①屋根設置太陽光発電、②地上設置太陽光発電、③ 次世代型太陽電池の社会実装--の3点に焦点を当てている。

 

ヒアリングでは多くの各種団体から、第7次エネルギー基本計画策定に向けた意見・ 要望が表明された。経団連からは、再生可能エネルギーにアクセスできる環境整備が重 要で、事業規律が確保された再生可能エネルギーの最大限導入を図るべきとの考えが示された。再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)からは、①再エネを増やす、②再エネを減らさない、③再エネの市場統合と高付加価値化から成る再エネ大量導入・主力電源化に向けた3つのアプローチと再エネ事業者に求められる行動が示された。 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)からは、屋根置きへの太陽光発電の導入加速などの重点分野を設けて、2035年の電源構成における再エネ比率60%以上を目指すべきという提言が示された。全国消費者団体連絡会からは、再エネの導入加速と最大 限活用するための施策強化が求められた。このように再生可能エネルギーについて課題はあるものの、その重要性を理解して導入拡大や加速を求める意見が大半であった。

 

基本政策分科会は、年末に向けて電力システム改革、エネルギー事業環境整備、電源 別及びシステム全体でのコスト検証の審議を進め、GX2040を踏まえた将来のエネルギ ーの姿やエネルギーミックス設定へと、第7次エネルギー基本計画案の作成に向かっていく。再エネ大量導入の課題及び太陽光発電導入拡大へのハードルはあるものの、それを克服する制度設計、法整備、技術開発、産業政策は見えており、すでにその対応も進められている。

 

世界における太陽光発電は年間500GW導入時代を迎え、太陽光発電技術自体の進化も加速しており、各国政府は経済性から太陽光発電特有の変動電源性、系統制約、立地 制約への対応へ動き出している。蓄電池等電力貯蔵技術との一体化や農地、駐車場等の設置場所の二重活用化(デュアルソーラー)はその事例であり、太陽光発電市場のすそ野が広がるとともに、太陽光発電の導入拡大を阻む壁が崩れ始めている。日本もこの世界 潮流に遅れをとることなく、第7次エネルギー基本計画の中で図1に示される論点を基点 にして、少なくとも年間10GWをベースとする太陽光発電の市場形成と不断の導入拡大追求を明確に位置付けていこう。

 

課題と展開

 

図1 経済産業省による再エネへの課題と太陽光発電導入展開

出典:経済産業省「第58回総合エネルギー調査会基本政策分科会(2024年7月8日)」資料より ㈱資源総合システム作成)

 

 

「今月の視点」の英語版”RTS Monthly Perspective”は、こちらからご覧いただけます (英語版は日本語版の1~2週間後に反映されます)

The English version “RTS Monthly Perspective” can be found here. (English version will be released1~2weeks after the Japanese version)

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