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次世代型太陽電池の導⼊⽬標量20GWを第7次エネ基に反映へ

2024.12.09

ペロブスカイト太陽電池の普及拡大に向けて、2040年までに20GWの導入(大幅なコ スト低減では40GW以上)を目標とする「次世代型太陽電池戦略」が策定された。現在 世界市場を支配している結晶シリコン太陽電池に対して、屋根等での設置が困難であった場所を初め、軽量・フレキシブルという特長を生かして導入領域を広げることができるペロブスカイト太陽電池を次世代型と位置付けている。

 

経済産業省は、今年5月に学識経験者、供給サイド、利活用サイド、利用者サイド、 政府関係府省庁(経産省/国交省/環境省/防衛省/文科省/農水省/総務省/法務省/金融庁)、 都道府県、市町村、研究開発機関、金融サイドからなる「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」を立ち上げた。次世代型太陽電池をめぐってこれまでに太陽電池産業の歴史、社会実装、導入ポテンシャル、施工・設置、需要家から見た次世代型太陽電池の可能性、海外ポテンシャル、国際標準化、サプライチェーン、 ファイナンス・保険など多方面からの議論を積み重ね、同戦略を練り上げている。

 

わが 国はサンシャイン計画を通じて、かつては結晶シリコン太陽電池の生産及び導入で世界 一になったが、それ以後下降して行った。今回こうした太陽電池産業の歴史を振り返り、 国の支援を技術開発にとどめず、経済産業省を中心に関係者群がそれぞれの役割を担って、量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出に三位一体で取り組むことで、ペロブ スカイト太陽電池の導入拡大と産業競争力強化に向けた新たな展開を始める。

 

ペロブスカイト太陽電池は、現在わが国が直面している、①地域との共生、②国民負 担の抑制、③出力変動への対応、④イノベーションの加速とサプライチェーン構築、⑤ 使用済み太陽光パネルへの対応など様々な課題を乗り越える可能性を持っており、再エ ネの導入拡大、エネルギーの安定供給、産業競争力の強化を担う次世代成長産業と期待されている。

 

次世代型太陽電池戦略は表1、図1に示すように、戦略の考え方と今後の展 開からなる。前者は①基本的考え方、②産業競争力の強化、③量産技術の開発・生産体 制の整備、④国内での社会実装・需要創出・海外展開、⑤施工方法の確立、⑥政策的対 応、⑦フォローアップという7つの視点に立ち、後者は①量産技術の確立、②生産体制 整備、③需要創出支援という3本の柱からなる方針に沿って、同戦略を進めていく。

 

今回の次世代型太陽電池戦略は、2040年までの導入目標量が示され、政策サイド、供 給サイド、利活用サイド、利用者サイドがそれぞれの役割を果たしながら、次世代型太 陽電池の国産化と導入展開を一体的に進めていく、いわば“チームペロブスカイト太陽電池ジャパン”への方針が掲げられたことに大きな意義と進歩がある。どのサイドが欠けても20GWの導入達成は困難となる。このチームの中で心臓部を成すペロブスカイト 太陽電池の製造では、国際競争も激しく、また結晶シリコン太陽電池の進化もまだまだ 続いていくことから、競争で勝ち上がっていく大事な局面に入っている。

 

商業生産に向 けては、同戦略で示されている“規模”と“スピード”による技術開発体制の強化と加 速が大きな鍵となる。現在、第7次エネルギー基本計画策定に向けた審議が進められており、2040年に向けての再エネへの大幅導入拡大が求められている。ペロブスカイト太 陽電池は既存市場のすそ野を広げるとともに、車載用や営農型など新市場創出も見込ま れることから、結晶シリコン太陽電池とペロブスカイト太陽電池の両面から、2040年に 向けた太陽光発電の導入目標量を引き上げることができる根拠となろう。 再エネの導入拡大を加速していくためには、この官民協議会をペロブスカイト太陽電 池の普及にとどめることなく、次のステップとして“太陽光発電官民普及促進協議会” へと発展させていくことが必要であろう。

 

 

表1 次世代型太陽電池戦略の考え方

Next Generation PV

出典:経済産業省「次世代型太陽電池戦略」を基に、㈱資源総合システム作成

 

 

図1 次世代型太陽電池の今後の展開

Next Generation PV II

出典:経済産業省「次世代型太陽電池戦略」を基に、㈱資源総合システム作成

 

 

 

「今月の視点」の英語版”RTS Monthly Perspective”は、こちらからご覧いただけます (英語版は日本語版の1~2週間後に反映されます)

The English version “RTS Monthly Perspective” can be found here. (English version will be released1~2weeks after the Japanese version)

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