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世界導⼊量は年間500GW規模へ、日本は上昇への反転を

2025.01.10

2024年の太陽光発電のハイライトは表1に示すように、世界市場は500GW規模となる ことが見込まれている。累積導入量では1TWに到達した2022年から、わずか2年で2TW を突破するほど太陽光発電は“キング”の名にふさわしく力強い成長を続けている。特 に中国は290GW、アメリカ40GW、EU65GW、インド30GWへと拡大が見込まれる。こうしたことを背景に国際エネルギー機関(IEA)は「再生可能エネルギー2024」において、2030年の太陽光発電導入量を年間701~835GW、累積5.8~6.5TWと予測している。

 

表1 2024年の太陽光発電を巡る重大(10大)ニュース

Top 10 news

 

政策面では、アメリカはインフレ抑制法(IRA)によって太陽電池の国内生産体制が強化され、生産能力は30GW/年を超える見通しとなることを初め、ヨーロッパ、中国、 インドでも導入拡大に向けた支援の強化が図られている。太陽光発電産業面では、太陽 電池メーカーによる設備投資が加熱した結果、供給過剰に陥り、太陽電池価格は製造原 価並み、あるいはそれ以下の10セント/Wを切るレベルへと進行した。サプライチェーンの見直しにより、アメリカ、ヨーロッパ、インドを初め、世界各地での太陽電池生産工 場が計画されていることから、この価格水準が継続すると太陽電池メーカーの淘汰が始 まる。一方で、太陽電池の現在の価格水準は他電源に対する競争力が益々高まっていくので、一国当たりの導入量が増えるだけでなく、世界全地域に浸透していくこととなろう。

 

国内では、太陽光発電導入拡大に大きな影響を及ぼす2040年を見据えた「GX2040ビ ジョン案」及び「第7次エネルギー基本計画」と「地球温暖化対策計画」の案が示され るとともに、関係府省庁と地方自治体は2023年7月に策定された「GX推進戦略」に基づき、再エネへの施策展開が進められた。「第7次エネルギー基本計画」の策定に向けては、2040年の電源構成の見通しは、発電電力量1.1~1.2兆kWhの想定に対し、再エネ4~ 5割、原子力2割、火力3~4割とし、再エネが火力を抜き最大の電源と位置付けられている。その中でも太陽光発電は23~29%程度(202~278GW相当、1kW=1,250kWh/年)として、容量においても発電量においてもおそらく全電源(火力発電は燃料別に示されていない)の中でわが国のトップ電源となる。「地球温暖化対策計画」の原案では、温室 効果ガス削減目標として2013年比2035年60%減、2040年73%減が示された。

 

経済産業省は、改正再エネ特措法の施行を行い、地域との共生を目指した事業規律強 化に乗りだした。再エネの安定電源化と導入拡大に向けては、再エネ100年構想を打ち出し、再エネ主力電源化アクションプランを発表するとともに、太陽電池の国内サプラ イチェーン構築に向けた「次世代太陽電池戦略」を策定した。環境省は、脱炭素先行地域推進事業を継続するとともに、地方自治体及び民間企業に対する太陽光発電の導入支 援を拡大した。脱炭素先行地域では新たに9地域を加え、計38道府県、108市町村の82地域に拡大し、目標の100地域に迫っている。環境省はさらに、地方自治体に対して保有 地及び保有施設への2030年までの太陽光発電導入目標量を4.82GWに設定した。省庁連 携施策展開では、環境省と経済産業省は太陽光発電所から大量に廃棄されると想定され る太陽光パネルに対する義務化に向けたリサイクル制度をとりまとめた。経済産業省と 国土交通省は2027年度の新設住宅への太陽光発電設置目標として、建売戸建住宅に対し て37.5%、注目戸建住宅に対して87.5%を設定した。自治体は再エネ導入促進区域設定、太陽光発電導入補助事業、PPA方式による公共施設への導入、太陽光発電を活用した地 産地消事業を活発化させている。

 

市場面では、FIP入札で平均落札価格は8.17円/kWhへ 低下したものの、現FIT・FIP制度での新たな事業認定の停滞が継続している。各省庁か らの補助金による導入や、FIT・FIP制度に頼らない自主導入は増えているものの、旧FIT 制度下での未稼働案件の稼働も大幅に減っており、2024年の太陽光発電導入量は2013年 以来最低となる5GWDC台に低下する見通しである。産業面では、FIT・FIP制度に頼らな いPPA事業が活発化するとともに、FITから蓄電池を活用したFIPへの移行の幕開けを迎 えている。O&M、リサイクル、アグリゲーション、バーチャルPPA契約、ペロブスカイ ト太陽電池実証など、新展開・新事業が続々と勃興し始めている。日本は「第7次エネ ルギー基本計画」及び「新地球温暖化対策計画」をきっかけにして導入減少に歯止めを かけ、2025年を再び導入拡大に向かう“反転の年”にしていかねばならない。

 

「今月の視点」の英語版”RTS Monthly Perspective”は、こちらからご覧いただけます (英語版は日本語版の1~2週間後に反映されます)

The English version “RTS Monthly Perspective” can be found here. (English version will be released1~2weeks after the Japanese version)

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