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株式会社 資源総合システム

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今後の日本の太陽光発電発展に不可欠な、8つの展開力を提言

2020.03.10

政府は225日、FIT法の抜本的見直しを盛り込んだ「エネルギー供給強靱化法案」を閣議決定し、今通常国会(第201回)に提出した。この法案は、自然災害の頻発、中東等の国際エネルギー情勢の緊迫化、再生可能エネルギーの拡大等、電力供給を巡る環境変化を踏まえて、強靱かつ持続可能な電力供給体制の確立を図るため、電事法、FIT法、JOGMEC法を一体的に改正しようとするものである。FIT法の抜本的改正では、①市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付する制度(FIP制度)の創設、②送電網の増強費用の一部を賦課金方式で全国で支える制度の創設、③再エネ発電設備の廃棄費用の外部積立の義務化、④認定後の一定期間内での運転開始がない場合の認定失効--が骨子となっている。2020年代には、太陽光発電の事業環境はFIT法制定時とは一変し、市場原理による導入と政策的支援からの自立が求められる。

弊社は毎年2月に、太陽光発電産業の健全な発展に向けた提言を発表してきた。2018年には日本の電力供給力と再エネ電力の需要を分析し、日本の太陽光発電システム累積導入量を2030年までに150GWに高めることが可能であることを示す「PV150 構想」を、次いで、2019年にはPV150実現に向けた具体的取り組み案として「PV150 行動計画」を発表した。今回、150GWの導入後も見据えて「展開力」の強化を提唱する「太陽光社会到来に向けた2020年代の太陽光発電の発展(PV150 展開力)」を発表した。

これまで太陽光発電は、コストダウンと普及支援策による供給力・導入力強化(X軸)に特化した量的拡大一辺倒で突き進んできた。これは、いわば必要条件に沿った取り組みであったが、モノ作りの強さと低価格だけでは太陽光発電の発展が限定されるため、今後の発展にはX軸のさらなる追求に加え、太陽光発電の幅広い利活用の追求とエネルギーとしての質の重視を目指す展開力強化(Y軸)という、十分条件を充足するための資源投入を強化し、2次元的発展にシフトする必要がある。この2次元的発展により、太陽光発電の主力電源化、さらには持続可能なエネルギー技術として社会インフラとの融合へとスパイラルアップを目指すことが肝要である。

ここで、Y軸となる展開力の強化とは図1に示すように、①国による関係施策複合展開による普及への強力な推進力確保、②系統制約の克服による安定電源化と次世代ネットワーク形成、③長期安定運用による、運用面からの主力電源化確立、④ソリューション事業拡大による市場拡大、次世代インフラ整備への展開強化、⑤太陽光発電と利用産業の産業間連携による新市場創出、⑥新分野への挑戦と利用領域の拡大による次世代市場の確立、⑦技術開発/技術融合による自家消費型太陽光発電システムによる自立分散型社会形成、⑧日本市場をマザー市場とした国際展開の、8課題への取り組みの強化で、これらを総合的に高めることが、太陽光発電の主力電源化には不可欠である。

 

図1 太陽光発電の主力電源化に向けた展開力の結集

 

このような展開力を総合的に向上させるY軸の追求への取り組みは、まだ世界的にも緒についたところで、日本が十分に優位性を発揮できる領域でもある。太陽電池製造で中国等に追い抜かれてしまった日本は、当面、X軸については世界の力を借りながら、Y軸の強化に軸足を移す選択をすれば、太陽光発電の制約なき導入に向かって再び世界をリードすることができるのではないだろうか。

日本は太陽光発電システムのあまりに急速な大量導入によって、国民負担の増大や系統制約などの大きな国家的課題に直面している最先進国でもある。これらの課題は太陽光発電の導入拡大を進める国にとって避けて通れない道であるが、上述の展開力の強化への取り組みは、これら課題への解決への取り組みでもあり、さらに将来の持続可能なエネルギー社会の構築にもつながる。日本が先陣を切ってこれに取り組むことによって蓄積されるノウハウは、世界におけるこれからの太陽光発電大量導入時代に対する日本の貢献であるとともに、我が国産業の競争力(稼ぐ力)になるはずである。

(同提言は、こちらからダウンロードいただけます。)

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