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太陽光発電は「2030年温室効果ガス46%削減」を支える大きな柱に

2021.05.13

2021年度が始まった。2012年度にFIT制度が施行されて以来9年が経過し、今年度は現FIT法が適用される最終年度となる。この間、太陽光発電に対する買取価格は10kW以上が42円/kWhから11~12円/kWhへ、10kW未満(住宅用)が48円/kWhから19円/kWhへと大幅に低下した。2017年度からは、買取価格の入札制度も開始され、入札の対象も2MW以上から、現在は250kW以上に拡大されている。2020年9月末時点の認定量は74.4GW、運転開始量(導入量)は53.3GWに達している。2022年度からは「エネルギー供給強靱化法」の下での「再エネ促進法」の施行が始まり、再エネ型経済社会の創造に向けて電力市場への連動など(FIP制度)、新たなルールが起動する。

 

こうした新たな制度への移行により、太陽光発電をめぐる事業環境は、専門性の問われる段階へと進展することとなる。太陽光発電産業界は、このような変化に対する準備を進めてきており、さらに、菅首相による昨年10月の2050年カーボンニュートラル宣言があり、太陽光発電をめぐる事業展開には新たな潮流が芽生えている。この背景には、再エネを主力電源とするエネルギー政策の転換、国際価格を視野に入れた太陽光発電の継続的なコストダウン誘導、金融業界や電力需要家側からの再エネ電力利用への強力なアプローチが、相乗的に進んできたことが挙げられる。具体的には表1に示すように、普及拡大への主導、普及の推進力、市場形成、導入目的・動機、導入様式、導入の広がり方、産業形成、金融界の姿勢、ゼロエネルギー対応、太陽光発電の可能性の視点から見ると、これまでのエネルギー政策や環境政策による政府支援一辺倒の段階を卒業し、市場、産業、需要家をベースとする、新たな考え方や体制に移行しようとしている。

 

表1 太陽光発電事業の新たな潮流

 

現在、経済産業省、環境省、国土交通省、農林水産省などの各省庁は、これまでにないスピードで脱炭素社会形成に向けての政策立案や法整備・規制緩和を進めており、再エネの普及に大きく関わる「第6次エネルギー基本計画」、「地域脱炭素ロードマップ」、「国土交通グリーンチャレンジ」に関しては、策定への審議が終盤を迎えている。4月には、国土交通省・経済産業省・環境省の3省による「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」が新規に立ち上がり、新築住宅への太陽電池パネル設置義務化の意見聴取も行われている。この中で、第6次エネルギー基本計画策定に向けての審議は、2030年の再エネ5電源それぞれの導入量見通しについて、努力継続ケースと政策強化ケースの数値がすでに示されている。太陽光発電については、努力継続ケースで87.6GWとしているが、政策強化ケースでは環境省が進める温対法改正による地域での再エネに対するポジティブゾーニングの推進、農林水産省が判断する農地での設置を可能とする規制緩和、国土交通省が進める、ZEHやZEBの推進、経済産業省が見直しを進める系統利用ルールやPPAへの支援など、各省の今後の対応次第により導入量が上方修正できるので、現段階ではさらなる検討が必要として目標値は未設定である。

 

こうした状況下で菅首相は地球温暖化対策推進本部で、2030年の温室効果ガス排出を2013年度比で26%から46%へと引き上げる新目標を表明し、アメリカ政府が主催する気候変動サミットに出席した。菅首相は新目標に向けて再エネを優先して行い、洋上風力と太陽光、住宅を強力に進める考えである。現時点での導入量見通しの政策強化ケースでは、2030年の温室効果ガス排出46%を前提にしていたものではないだけに、再び見直すことが必要となる。太陽光発電以外は十分に対処した政策強化ケースであり、また、導入へのリードタイムが必要であることを考えると、大幅な積み増しは難しい。そうなると、政策強化ケースがまだ出ていない太陽光発電については、導入へのリードタイムの短さを考えると、100GWを超える導入目標量が設定される可能性が高いと考えられる。太陽光発電には、経済性、変動電源性、系統制約、立地制約という克服すべき4大課題があるものの、“産官学金”が一体となって課題克服を加速させながら、太陽光発電産業界は総力を挙げて前述の新たな潮流を大きく発展させ、“2030年46%削減”を全面的に支える柱となるべきである。菅首相による「2050年カーボンニュートラル」宣言以来、電力需要家側からの自家消費型の太陽光発電新規導入機運も高まっており、PPA方式によるFITに依存しない太陽光発電の普及拡大を進めるチャンスでもある。

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