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株式会社 資源総合システム

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新たな普及に向かう2022年、太陽光発電産業は持続可能な事業形態へ

2022.02.09

国内外ともに太陽光発電の本格発展へ向かうための大事な2022年が始まった。世界は昨年のCOP26の合意を受けて、先進国、途上国問わず太陽光発電の導入拡大を一段と進め、2022年には年間導入量200GW、累積導入量1TW突破が実現する歴史的な1年となろう。日本では、太陽光発電の野心的な導入目標量達成に向けて、新たな導入制度と導入展開が始まり、これまでのような比較的穏やかな事業環境から市場競争原理に基づく自立的発展への転換が始まる1年となろう。これまで、我が国ではFIT制度により2012年からの9年間で60GW弱の太陽光発電を導入できたが、新たな導入展開により、わが国の太陽光発電普及構造は図1に示すように大きく変わると推測される。国民負担から成り立つFIT単独の普及構造は終焉し、関係省庁、地方自治体、規制改革、ビジネスモデル、需要家参画、技術開発など、多様な担い手と手法を駆使した新たな普及構造へと移行することとなる。

 

図1 2022年以降の普及構造

 

具体的には、2022年からの太陽光発電の普及構造には以下のような変化が始まろう。エネルギー供給強靱化法の施行では、再エネ促進法および電気事業法に基づいて、これまでの固定買取制度FITに代わって、市場連動型のFIP制度、太陽光発電に係る破棄費用積立制度、認定失効制度、プッシュ型送電網増強、配電事業や特定卸供給事業者(アグリゲーター)へのライセンス導入等が開始される。改正地球温暖化対策法の施行では、自治体による再エネ導入目標量や再エネ普及促進区域の設定を通じて、太陽光発電システムの導入拡大が始まる。第6次エネルギー基本計画に基づく政策対応では、再エネ最大限の導入に向けて、適地確保、事業規律の強化、コスト低減、電力市場への統合、系統制約の克服、規制の合理化、技術開発の推進の一層の強化が図られる。責任省庁による導入展開では、経済産業省、環境省、国土交通省、農林水産省それぞれが所管する法律、制度、施策、予算、規制改革を総動員して、公共施設、住宅、産業施設、農地等の分野でGW規模の導入がそれぞれ進められていく。規制改革では、2021年度の規制改革実施計画に基づいて、関係府省庁及び自治体にまたがる規制や阻害要因を総点検し、太陽光発電の導入拡大につながる規制改革が続けられる。地方自治体による導入展開では、地域脱炭素ロードマップや導入目標量の設定に基づいて、再エネ交付金等の導入補助を利用しながら、地域での地産地消型の太陽光発電システム導入拡大が本格化していく。さらに、導入拡大へのビジネスモデルでは、第3者所有モデルによる導入設置費用の発生しないPPA方式の導入を初め、普及拡大へのビジネスモデルを浸透させることで、政府支援を不要とする普及が進んでいく。在来型エネルギー産業による再エネ事業へのシフト強化では、再エネ供給プレーヤーとなることで、エネルギーの安定供給と再エネ産業への信頼を深めていく。電力需要家からの再エネへの電力転換の加速では、再エネ電源開発投資が進み、普及拡大を需要サイドが主導していくこととなる。技術開発の加速では、これまでは太陽光発電の導入の進まなかった分野での導入が可能となり、新市場創出による導入領域が広がっていく。

 

以上のような普及要素は、単独では普及拡大への大きな力とならず限定的となるが、こうした普及要素が組み合わされ、束ねられることでFIT制度下では存在しなかった新たな普及構造が想定される。分散型電源リソースをアグリゲートすることで、仮想発電所となるように、これからは普及に貢献していくいくつかの普及要素をアグリゲートすることで、これまでのFIT制度に相当する新たな普及構造を生み出していかねばならない。一方、太陽光発電産業は2030年の新たな導入目標達成に向けて、今後50GWを超える導入を担っている。太陽光発電産業は、事業環境の激変で厳しい局面と期待が高まる局面が混在するも、これまでのFITベースでの事業形態から脱却し、新たな認識と覚悟で太陽光発電の持続可能な事業形態への移行(PVトランジション、PVX)を進めていかねばならない。政府は2022年、岸田首相直轄での「クリーンエネルギー戦略」の策定や「電気事業法、省エネルギー法、地球温暖化対策推進法、建築物省エネ法」等の法案改正を初め、再エネの導入拡大を計画から実行へと強力に推し進めていく。太陽光発電産業もまた、政府と一体となって2022年をFITに続く「第2次導入展開期のスタート」と位置付け、普及拡大を継続していこう。これまでの導入目的となっていた“売電による収益”から抜け出し、“自家消費による経済優位性”を新たな導入目的に変えて、電力需要家とともに築き上げる脱炭素経済社会づくりを目指していこう。

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