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株式会社 資源総合システム

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地方自治体が主導する太陽光発電導入展開への幕開け

2022.03.08

改正地球温暖化対策推進法の成立や地域脱炭素ロードマップ策定を受けて、都道府県及び市町村による再エネ導入が、2022年度予算に反映されるなど、地方自治体による2030年度に向けた地域脱炭素への動きが、表1に示すように積極化するきざしを見せ始めている。自然環境や景観の保全等地域の事情を背景に再エネ導入を制限する条例を定める一方で、再エネの地域との共生を基本とした地方自治体主導での新たな導入拡大が見込まれている。特に、太陽光発電についてはこれまで自治体、民間、個人からの単発導入が主であったが、今後は地域単位で、集団的あるいは組織的面的導入を計画的に進めることが可能となろう。

 

表1 地方自治体の再エネ導入をめぐる最近の動き(太陽光発電中心)

 

地方自治体による再エネ導入展開は、地球温暖化対策推進法の改正により、自治体が「再生可能エネルギー促進区域」を設けて再生可能エネルギーの導入拡大を図れるようになるとともに、都道府県・政令市・中核市による温暖化対策実行計画への導入目標量設定が義務化(市町村は努力義務化)されたことで、2022年度以降大きく前進することとなろう。今年4月に予定される改正地球温暖化対策推進法の施行では、「地域脱炭素化促進事業」制度、地域における再エネ導入目標の設定、ポジティブゾーニング等に対するガイドラインや地域公共団体実行計画策定の実施マニュアルも示されており、同法に基づく再エネ導入拡大への新たな展開が始まる。また、国・地方脱炭素実現会議を通じて、内閣府によって策定された「地域脱炭素ロードマップ」には地域の成長戦略として、太陽光発電など再エネ等の地域資源の最大限の活用や地域の課題解決への再エネの役割が明記され、脱炭素地域の設定と実行や再エネを活用した脱炭素の基盤となる重点対策が示されたことで、地方自治体による再エネを活用した脱炭素への取り組みも進め易くなっている。

 

環境省は、第6次エネルギー基本計画策定の中で、責任省庁として、政府・自治体保有建築物等の50%に太陽光発電を設置する公共部門の率先実行に6GW、ゾーニングと地域共生型太陽光発電の推進に8.2GW、民間企業による自家消費型太陽光発電導入に10GW、計24.2GWの導入量を表明し、地方自治体への導入を後押ししていくこととなったことも大きく寄与している。さらに環境省は、100ヶ所以上を目標とする脱炭素先行地域づくり事業と再エネ推進交付金を創設したことで、地方自治体主導の導入拡大に拍車をかけている。脱炭素先行地域には、住生活エリア、ビジネス・商業エリア、自然エリア、施設群の類型を設けることで、日本の典型的な設置領域での導入パターン化を図り、全国に広げていく。第1次公募に対し、すでに102自治体、計79地域からの応募がきており、再エネ導入を利用した地域の脱炭素社会形成と地域経済の活性化に前向きに取り組む自治体が増えている。

 

地方自治体は地域における再エネの主導的導入プレーヤーとして、わが国の再エネ導入目標量達成を支える不可欠な担い手となる。今後、多くの自治体がポジティブゾーニングを通じて地域の産業、金融機関、住民とともに再エネ電力の地産地消を図りながら、地域経済の活性化、脱炭素化、レジリエンスへの対応、住環境の向上を進めていくことが期待される。環境省による再エネ推進交付金は、地方自治体が導入拡大の主体性と自由度を高めていくためにも一過性に終わらず、継続していくことが必要である。

 

地方自治体が進める導入展開は、学校、庁舎等の公共施設を始め、住宅、民間施設、営農型等が想定され、太陽光発電産業にとっては自家消費型太陽光発電市場の発展への重要な成長市場となる。太陽光発電業界もこのような地方自治体による新たな動きを大きなチャンスと捉え、再エネ導入拡大を進める地方自治体と地域に根差した強力な連携を図り、地域の再エネ関連事業者支援や導入費用を不要とするPPA等のビジネスモデル提案を初め、太陽光発電業界の地域展開を深めていくべきであろう。

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